ランドセルを背負わない

私はランドセルを背負ったことがない。
正確には一度だけ、友達のものを背負わせてもらったことがあるが、小学校6年間、ランドセルで登校したことはなかった。
今思うと少し異質な気がするが、当時は特に気にならなかった。

今になってわかるのは、孫にランドセルを買う「役目」である祖父母の負担にならないようにという思いが母親にあったのだろうということである。
成長とともに幾度も新しいサイズを用意しなければならない子供服をたくさん買ってくれたのは祖父母だった。
毎年クリスマスにはプレゼントが届いたし、お正月はお年玉をいただいていた。
娘である私の母としても、何かあるたびに物やお金を貰うことに気が引けたということは、私がある程度大きくなってからその気持ちを教えてくれた。

私はランドセルの代わりに茶色のリュックを背負っていた。
荷物を入れる口を小さく絞ることのできる、女性用とも言えるタイプのものだった。

人の目を気にするタイプの子供だったと思うが、鞄が周りの皆と違うことはそこまで気にしていなかった。
むしろ、かっこいい鞄だと思っていたのかもしれない。

「普通の鞄」を使っていた私にとって、ランドセルはよくわからないものだった。
機能性が高いせいで他の鞄とは形状が大きく違うし、押しても潰れないような固さであることも不思議だった。

親がいわゆる「転勤族」だったので、何度も学校を替えたり、見た目のことでいじめにあったりした。
そういう経験があって、人と違ってもいいのだという風に思えるようになったのだろう。
小学校の学年が上がるにつれ、転校で新しく行く学校では鞄が違うことを言われると嬉しくなっていた。

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